第32章 巻き込まれた夏祭り
ガラス細工の露天で足を止めたり、あんず飴の店で水飴を買ったり射的で腕を競ったりと、夏祭りを満喫するには十分な歩みだった。しかしある1点は除いて
「桃っちって、マジすごいんスね。オレと黒子っちが隣に居るのに、あんなに声かけられるなんて」
「うぅ……」
さつきは涼太の言葉に赤くなって俯く。さつきは既に3回ナンパされており、その都度涼太とテツヤが追い払っている
ちなみにあたしは0回である。別にされたいわけではないし答えを知っているが、なんとなく悲しい
「毎年、夏祭りだと、こんな感じなんスか?」
「まさかっ!去年とかは1度もなかったもん!青峰君だって証言してくれるよっ」
「…となると、青峰っちがボディーガード代わりだったってことっスか?まあ、青峰っちが一緒なら、声かけにくいスよね…」
「でも、青峰君が一緒じゃなくても、声はかけられなかったよプールのときも平気だったもん
青峰君たらねっ、プールなら普通はポ……ポロリがあるんじゃねーかって、言ったんだよ!」
『…はぁ』
「最低だよっ!あのガングロクロスケはガングロクロスケどころか、ガングロエロスケなんだよっ!」
その話をしていたさつきは怒りが再燃してしまったのだが、涼太はどこか困った顔でさつきを見ていた
「えーっと、まあ、なんというか…青峰っちも男の子だし、仕方ないっつーか……」
「きーちゃんまで!じゃあ、きーちゃんもそうなの!?」
「えっ、オレ!?って、なんで桃っちそんなに引いてるんスか!?」
「だって…!」
「いやでも、一般論で…ねぇ黒子っち!」
「あ、すみません。聞いていませんでした」
「黒子っちー!!」
「テツ君はそんなことないよねっ!?私、信じてるからっ」
「信じてもらえるなら、光栄です」
「黒子っち、ずるいっスよなんかオレだけ責められて……」
「すみません。考え事してたので、本当に聞いてなくて…」
「テツ君、何考えていたの?」
「ちょっと気になることが…」
「あぶない!」
テツヤが話をしようと顎に手を添えた瞬間、涼太が叫ぶ
見るとさつきに向かって飛んでくる紙コップがあり、その前にはコップが横になってこぼれて揺れている液体があった