第32章 巻き込まれた夏祭り
「どうしたんスか?」
「……赤司君の浴衣、白地でしたね」
「え、マジで!?」
「うん。しかも龍が描かれてた……」
「龍!着こなす難易度高いっスよ!」
「でも似合ってましたよね」
「うん……」
「「(さすが赤司君……!)」
『征十郎はペンギンとかいう可愛い柄より、龍とかそう言う和柄のほうが似合うからね』
そう言うと3人は納得したのかコクコクと頷いて、肯定を示していた
テツヤが持っていたたこ焼きを食べ終えてパックをゴミ箱に捨てると、涼太が何かを思い出したのかさつきを見る
「そういえば…今日は青峰っちは一緒じゃないんスか?」
「うん、それがね……一緒に来たんだけど休憩所で待ってるからお肉買ってこいって言われちゃって…」
「青峰っち、らしいっスね」
「黄瀬君は1人で来たんですか?」
「そーっスよ。知り合いのおじさんに、今日はお神輿を担ぐからぜひ見に来てくれって誘われて
本当はもっと早く来るつもりだったんスけど、道路がすごい混んでて車が全然動かなくて」
「…わざわざ夏祭り来るのに、タクシーに乗ったの?」
『歩いてきなよー』
「ちょ、なんスか!名前っち、桃っちその目!オレ、そんなにセレブじゃないっスよ!
今日は仕事があって、帰るのにマネージャーさんの車で送ってもらっただけっス」
「確かに…道路混んでましたね。ボクもここに来るとき、渋滞しているのを見ました」
「パトカーとかずいぶん停まってたから、なんかあったんじゃないスか」
「事故とか…事件かな?」
『混んでるなら事故の可能性がでかいかな』
「でもまあ、いいじゃないスか、今は夏祭りを楽しまないと」
涼太の言葉にテツヤとさつきは笑顔で頷く
これから何が起こるか知っているあたしはどうしようかな考えながら、まだ半分以上残っているりんご飴を一口、シャクリと音を立てて食べた