第32章 巻き込まれた夏祭り
「ムッ君、赤司君と何か約束したの?」
「うんっ!将棋大会、優勝景品の中にお菓子の詰め合わせがあるんだって。大会が終わったら取りに来いって言われた」
「勝負する前から、もう優勝すること決定なのね……」
『さつき、それ既にあたしが征十郎に言ってある』
「まあ、赤司君が負けるとは思えませんしね」
「だよねー」
「そうかも……」
テツヤの言葉にうんうんと頷く紫原とさつき。彼らも帝光祭での征十郎の無双を見たんだ
どうせ勝って来るだろうと思っているのだろう
『どうせならこのまま4人で遊ぼうよ』
「賛成!みんなで回ろ!」
「オレりんご飴食べたーい」
『あ、あたしも食べたい!』
「じゃありんご飴の屋台を探しましょうか」
りんご飴の屋台を探して歩いていると、紫原が目を引くのに対してテツヤは影の薄さによって全く目を引かないという全く反対の状況に笑いがこぼれる
ずらりと並ぶ屋台からりんご飴を探すことは難しくなかった
「あ、りんご飴の店あったー」
「じゃあそこに並びましょうか」
『あたし大きいの買おうかなー』
「じゃ私は小さいの食べよーっと」
りんご飴を食べながら色んな店を見ていると紫原が「次はソースせんべい食べたいんだよね~」と言い出したので屋台を探す
彼の手にりんご飴はすでにない。同じ大きいサイズのりんご飴買ったはずなのにおかしいなと、自分の手に残っている同じものを見つめているとさつきが輪投げで遊んでいる誰かに声をかける
「ミードリン、どうしたの?」
『え、緑間?』
「桃井…それに、黒子に紫原に苗字まで一緒か」
「緑間君も輪投げで遊んだりするんですね」
「これは遊びではない」
「じゃあ、その手に持つ輪投げはなんですか?」
「これはオレが人事を尽くすことへの決意の証、そのものだ」
テツヤの言葉通り緑間は輪投げを手にを遊んでいるように見えるが、彼はここの屋台でラッキーアイテムを集めていたはずだと思い出す