第32章 巻き込まれた夏祭り
帯を手にして目の前にはやり方を書いてある本。そんな状況を始めてもうすぐ10分は経とうとしている
せっかくの夏祭り、毎年浴衣を着ているし着ようと頑張ったが、着る機会があまり無く普段雪さんに頼んでいるおり彼女が仕事に行ってしまった今、大変困っている
『帯もお願いすればよかったなあ』
お昼頃から仕事に向かった雪さんは、出かける前にあたしの髪をバッチリ決めてから仕事に行った
彼女が「浴衣にはお団子よね~」と楽しそうにしていたのは記憶に新しい
だけど昼から浴衣を着ているのも嫌だしな…と帯を最初の状態に戻し溜め息を吐く
「名前」
『うぉえい!征十郎!?待って、なんで!?』
「先ほどチャイムを鳴らしたのだが出てこなかったからね。不本意ながら入らせてもらったよ」
『下着姿だったらどうしたんだ…』
浴衣を着ているから良かったものの下着姿だったらどうしたんだと考える
そんな彼は白地に昇り龍が描かれており、普通の中学生ならそれ選ばないぞと考えたが大変よく似合っていた
『あ、征十郎、帯結べる?』
「ああ。結べるが」
『ごめんやってもらえないかな、出来なくて』
「失礼するよ。名前、前を押さえててくれないか」
『ほい』
「しっかり押さえててくれ。はだけてしまうかもしれない」
『そんなヘマしないよね?』
持っていた帯を取り、手際よく帯を結んでいく。彼はこういうことも学んできたのだろうかとぼーっと考えた
帯を綺麗に結んで形を整えてもらい終わると安堵の溜め息を吐く