第31章 全中予選と夏休み
「次、苗字」
『はーい』
担任から成績表を受け取り中を見ると、5だけしかなくて内心ガッツポーズをする
プールの授業でどうなるかわからなかったが、これでまだ征十郎に負けていないと謎の対抗心を持ちながら席に着いた
「名前ちんオール5じゃーんすご~」
『どやどやー』
「名前っちすごいっスね!オレのも見るっスか?」
『…2と3が多いな』
「4もあるっスよ!」
『体育じゃんよ』
「テストの点は取れなかったっスけど、実技のテストで取れたっス!」
『どうせなら5取れば良いのに』
「無理っスよ」
『おい』
内容をサラサラーと読んでから涼太に返すと、紫原も通知表を見せてくれる
『紫原は…』
「1と5以外なら全部あるよ~」
『…特別良いのも悪いのもないんだね』
「まあね~」
「紫原っちは授業中寝なければ成績もっと上がると思うんスけど」
『その言葉、涼太にそのまま返すよ』
「オレは起きてるっスよ!ね、紫原っち!」
「んー?寝てるから知らなーい」
まあ睡眠にはあらがえないからしょうがない
事実あたしだって寝ているときはあると人のことを注意できないので黙っておく
「赤ちんもオール5なんだろうなー」
「赤司っちっスからねー。なんか去年同じクラスだったときより取っ付きやすくなった気がするっス」
『…征十郎が、取っ付きやすい?』
「オーラとか雰囲気が優しいって言うんスかねオレから見るとっスけど」
『そっか、征十郎が…』
涼太の言葉に口角が上がってしまう
それがもしあたしの働きのおかげだったらいいなと考えながら、通知表をカバンにしまった