第31章 全中予選と夏休み
「これより、帝光中学校対角岡中学校の試合を始めます」
そして迎える全国中学バスケットボール大会地区予選初日。1日1試合のため、この試合が終われば今日はもう自由だ
本来つくはずであるマネージャーはさつきだが、スカウティングのため他校の試合を見るそうで、今回あたしが帯同マネージャーに選ばれた
「来たぞ…最強帝光…」
「対する角岡もいいチームだが…未だ全国出場はない中堅校」
「正直帝光にとっては油断したとしてもまず負けない相手だが…」
「言うことは1つだけだ獅子搏兎どんな相手であろうと全力で勝つ。それが戦いの礼儀だ、行け」
「「「おう」」」
キュッとバッシュの音を鳴らし歩き出すキセキ達。試合を始めればシュートをガンガン決めて行き、第3Qで91対32という点差になっていた
「うおおー帝光全開!!容赦なし」
「そしてウワサ通り例年をはるかにしのいでいる…」
「今年の帝光はケタちがいに、強い!!」
「くそっ…」
悔しげな相手チームに少し同情するが、涼太と交代で試合に出るテツヤの背中を見る
彼にとって初の公式試合だが、初めてユニフォームを着たあの時のような面影は何もない
「…は?だれ?」
「ウスッ」
「あれも帝光…?」
「サクッと一発黙らせてきてくださいっス」
「はい」
その小さな背中がとても頼もしく見えて、フッと自然と笑みがこぼれる