第29章 みんな仲良く
苗字side
久々にゆっくり寝たと起きると視界に人影が映る。誰だろうと目を凝らすと雪さんだった
「理由が何にしろちゃんと寝なきゃだめよ名前ちゃん」
『…すみません』
「征十郎くんと背の大きい男の子がね、焦った表情で来たのよ」
『征十郎と紫原ですか…』
「紫原君本当に大きいのね、見上げちゃった」
『大きいのならいっぱい居ますよ』
起き上がり伸びをすると席から離れ、扉を開けた雪さんが誰かに声をかける
「征十郎君、名前ちゃん起きたから、話す?」
ふわりと笑った雪さんは「終わったら送るわね」と言って部屋から出ていき、代わりに征十郎が入ってくる
「名前、無理するなと言っただろう?」
『大丈夫かと思ったんだもん』
「まあ、オレが言えることではないのだが…」
『征十郎は習い事減った?ま、その顔なら大丈夫そうだけど』
今年の春までの征十郎の顔は酷かったと当時の彼を思い出す
背負い過ぎというのか、責任感がすごすぎてむしろ怖かったくらいだ
「ああ、最近父さんとは前よりは話すようになったね。稽古も選ばせてもらうようになったくらいだ」
『この際すべてやめちゃえば?』
「近いうちにそうなるだろうね」
『マジか』
冗談で言ったんだが、それが実現するならいいことだと思って頷くと、あたしを見ている征十郎の視線が気になる
まだ見てるのか気にって視線を上げると、バッチリ目があって戸惑ってしまう