第29章 みんな仲良く
「あ、いた!青峰っち黒子っち!帰りみんなでアイス食ってかねーっスか!」
「おー、そうだな」
「名前っちと桃っちは?」
「あ、私ちょっとこの試合のデータとか赤司君に持ってかないといけないから…」
『征十郎ならあたしが持ってく。ついでに呼んでくるからみんなでアイス食べいこ』
「本当っスか!?じゃあここで待ってるっス!」
『さつき、データ持ってくよ』
「あ、はい。分かった」
『ありがと、行ってくる』
さつきから預かったプリントの束を腕に抱えて歩き出す
どうせ部室にいるんだろうと、部室の前まで行きノックしドアを開ける
『征十郎』
「ああ、どうしたんだい?」
『みんなでアイス食べに行くから、征十郎も行こ』
「…ああ、分かった。すぐに行こう」
彼はこの部屋で1人、何をしていたのだろうか。1人じゃ寂しかっただろうにと、征十郎の片手を取り歩き出す
その事に少々驚く素振りを見せた征十郎だが、すぐに微笑みに変わった
『…頭痛い』
「アイス一気に食べ過ぎたんじゃね?」
『うーん…?』
辿り着いたのはいつものコンビニ。アイスを食べると何だか頭痛がしてきてとりあえずコンビニの壁に寄りかかりながら座ると目の前に征十郎が立つ
「…名前」
『どーした征十郎アイスなら紫原から1本貰いなよ』
「アイスの話ではない名前の体調についての話だ」
『全然平気だよ。若いもん』
「最近、寝てないんだろう」
『そんなことないよ』
「じゃあその顔色の悪さは何だ」
お母さんか。とつっこみたくなる衝動を抑えて立ち上がると、ぐらりと視界が回る
ただの立ち眩みだろうと思って目の前で怒っている征十郎の話を聞き流していると、段々音が遠くなっていく
「…名前?」
『征十郎、これ…やばいかも…』
だから言っただろうと絶対征十郎に言われるなと思いながら、ぼんやりとしていた意識を手放した