第28章 景品稼ぎ
「おっと、大丈夫かい?」
『はぁ~…ありがと征十郎』
「ドレスでは危なかったね、更衣室まで手を貸すよ」
『…ありがとう、今回は借りとく』
征十郎の手を借りて、残りの段数を気を付けて階段を登る
お姫様ってこんな感じなのかななんて考えたが、姫なんて柄じゃないとその思考は捨てた
「名前、ウェディングドレスを結婚前に着るとお嫁に行くのが遅くなると言うのを知ってるかい?」
『…ふーん』
「でも名前は大丈夫そうだね」
『…?』
「綺麗だよ見とれるほどにだ」
『そんな風に思ってるには見えないけどね、ありがとう』
いつも通り飄々としている彼に見とれたような様子は見られない。昔から彼は
「綺麗な姿の名前と写真を撮れば良かったね」
『い、いいよ撮らなくて』
「写真部に行けば撮ってくれるみたいだ。行こう」
『いいって、恥ずかしいから』
「名前が撮らなくて良くても、オレが名前と撮りたいんだよ」
『…』
「良いだろう?」
『そこまで言うなら…撮ってあげなくもない』
「言い方が緑間みたいだね」
そのあと写真部で撮ってもらった写真は後日貰えるとのことで、征十郎は手持ちのカメラでも撮ってもらっていた
本当に恥ずかしかったが今日しっかりとした写真は和成としか撮っていない
記念に数枚くらい良いかと自分に言い聞かせ、ドレスを脱いで彼と模擬店を回った