第27章 艷仁知をしよう
生徒会活動に加えマネージャー業務もドリンク作りがなんだかいつもより多く、大忙しだった
そんな日の夜、持ち帰った書類を処理しようと課題が終わった後に資料を開いた
『…眠い』
そろそろ良い子は寝てもいい時間。こんな時間に生徒会の仕事をしているなんて社畜のようだしそもそも学校の予算なんか持ち帰っても平気なのかと疑問に思う
眠気覚まし用の飲み物を飲みながら気分転換に携帯を確認するとメールが一件入っている
開いてみると和成からのメールだった
『…帝光祭かぁ』
内容は「友達と帝光祭に遊びいくから日程教えて」との事だった
メールを送信するとなぜか返ってきたのは電話で、急いで通話ボタンを押す
『もしもし?』
「もしもし、名前ちゃん?
まさか返信来ると思ってなかったから嬉しくて電話しちゃったー!こんな時間まで何してたの?」
『…生徒会の書類まとめてた』
「名前ちゃん生徒会入ってんの!?」
『うん』
「なんか…意外っつーの?
そういうの面倒だからってやんなそうなイメージだったわ」
『いや、立候補した覚えがない。なんかいつの間にか生徒会に入ってた』
電話越しでブハッ!と笑い出して恐らく腹を抱えているのだろうなと想像する
その様子が容易に脳裏に浮かび、むしろそのことに笑ってしまいそうになった
「名前ちゃんの担当時間いつ?てかクラス何やんのー?」
『艶仁知』
「…縁日?何、浴衣でも着るわけ?」
『いや、艶やかに仁義に知識の知で艶仁知だよ』
「ブハッ!何それ、ホストとかそうゆーのやんの?」
『それがフランス革命前の格好するらしいんだよね』
「ちょ、待って、腹痛い」
…笑いすぎたのか腹を痛いと訴える和成の耳元から笑い声が電話越しにすごくよく聞こえて、妹ちゃんは寝てる時間じゃないのかと心配になる
数分後、無事笑いが収まったらしく話を続けてきた
「てことは、名前ちゃんもドレス着るって感じ?」
『さー?何着るかわかんないんだよね』
「見に行くわ」
『やめて』
そこから他愛ない世間話をしながらあたしは書類をまとめたが、結局話の方には意識がいってしまい想定していたところまで終わらなかった
だけど不思議と気分は良かった