第27章 艷仁知をしよう
もう急ぐ必要はないだろうと焦らずゆっくり生徒会室へと戻ると、居たのは征十郎のみだった
「お帰り名前」
『あれ、会長は?』
「先生に呼ばれて退席しているよ」
『へー、忙しいんだね』
教室にいてもどうせ色々こき使われることは目に見えている。なら生徒会室にいた方がよっぽどいい
いつの間にか増えた予算書が置かれた机に座り突っ伏し、先程まで涼太と握っていた手を開いたり閉じたり繰り返す
『征十郎、あれ以来お父さんと上手くいってる?』
「ああ、前に比べれば良い関係だと思ってるが…急にどうしたんだい?」
『なんか、親について考えたくなった』
元の世界の両親と、この世界での雪さんではない本物の両親とかが今頃どうなっているのか気にならないわけではなち
こちらに来たときに目覚めたのが既に病院だったからこちらの世界の両親にあったことはないのだが、同一人物だったらどうしようとたまに怖くなる
「名前は、実の両親の記憶がないんだったね」
『というか拾われるまでの記憶がないね』
「…オレは、いつ名前の両親が現れるか心配だけどね」
『うん?』
「オレはいつか名前の両親が雪さん達に何かを要求するために襲ってこないか、それが不安だよ」
『…ああ、そう、だよね』
「そんなに気になるのかい?」
『少し。でもそんな心配が杞憂になればいいなとは思ってるよ』
「今はそう考えるのが最善だろうね」
珍しく重たい会話をしてしまったと内心反省しながら体を伸ばす
何を考えているのか分からない赤い目はこちらを見ていたが1つ瞬きをして口を開いた