第25章 試験前の部活停止
本を閉じた彼と勉強会の日程とかを話し合いながら足を進ませる
途中、重たそうな大きい荷物を運んでいるおばあちゃんが視界に入ると征十郎が駆け出した
「手伝いましょうか」
荷物を代わりに持ち、3人で喋りながらバス停まで送り届ける
車内から手を振るおばあちゃんを見送ると、後ろから声がかかった
「親切じゃねーか」
『虹村先輩』
「なんのことですか?」
「照れるなよ。わざわざ通学路とは別のところまで運んでやるとは偉いな、苗字の家の方向でもねえだろ」
「虹村さんも通学路とは別ですよね?」
「まあいろいろあんだよ。途中まで一緒に行っていいか」
『どうぞ』
「構いません」
商店街に入ると、征十郎に色んな人から声がかかる
豆腐をもらったり、お礼を言われたり、将棋の退会に誘われたり、足止めを食らうと虹村先輩が小さい声で話しかけてきた
「人気者だな赤司」
『昔から人望厚いんで』
「そういや灰崎に退部を促したのはお前だったな」
「…ええ、それが1番帝光バスケ部の理念にかなうので」
そういった彼はこの間見た時と同じ冷たい目をしている
征十郎の様子に虹村先輩は何か思うところがあるようだが、彼も年齢の割に大人びているため話題を変えてくれた