第24章 頼って
「まずスタメンはすぐ黄瀬になる。それも全中の予選前には。黄瀬の潜在能力と成長速度は灰崎の比ではない
さらに控えは虹村さんがコンバートされる」
「!?」
「そうなればもはやSFは層が薄いどころか最も厚いポジションと言ってもいい
灰崎の素行の悪さは最近特に目に余る。つい先日も他校の生徒とケンカしたそうだ
これ以上は部にとってデメリットばかりしかない」
彼の瞳は別人のように冷たい。それはまだ彼のことを救い切れていないからなのだろうかと話より彼の瞳を見ていた
「もう用済みだ。退部を勧めよう」
灰崎のことは残念で仕方がない。きっといい子なんだとあたしは信じているが、征十郎に用済みだと言えばただのマネージャーは何もすることが出来ない
気持ちを切り替えて、この空気を変えるためにも話題を帰ることにした
『…そういえば昼間にテツヤが探し歩いていたらしいんだけど、緑間会った?』
「ああ。そうだ赤司、昼間黒子が捜していたが会えたのか?」
「ああ、会えたよ」
征十郎の眼が普通の暖かい眼に戻って少しホッとしたのもつかの間、再び冷たい目をする
「……彼はどうするのだろうな」
「なにがだ?」
緑間が征十郎に質問した瞬間、強い風が吹いて緑間は目を細めて手をかざした
その風が緑間の視界と音を攫った一瞬の隙に征十郎は喋ったらしく、彼には何も聞こえなかったらしいがあたしには聞こえた
「友情に浸るのもいいが、我が部の理念がそれを反したとき、彼はどうするのだろうと思ったんだ」
部の理念に反していようが友情に浸っていたほうがいいんじゃないかと考えるあたしはぬるいのだろうか
でも、彼らがバラバラになるくらいなら負けを経験してもいいんじゃないかと、なんだがもやもやしてきてしまう