第3章 帝光に行かないか?
教室に着くと既に席についている人物から視線を受ける
まあ入ってきた人が誰なのかは気になるから仕方ないかと思い席に座ろうとするとふと気づいた。隣がシャララっている
まじかと思って席に座り、最後の復習と薄めの暗記本を見ていると声をかけられる
「あ、ちょっと聞いてもいいスか」
『…え』
「この図形の解き方、教えて欲しいんスけど」
『ああ、なるほど』
分かりやすいかは置いといて説明すると彼は普通に質問してきて、1回解いて出来たと歓喜する
「ありがとっス!あの、あと何問か…いいっスか」
『いいよ、どれ?』
時間の許す限り彼の質問に答えていくと時間が来てしまう。彼は本当に謝りながら荷物を置いて試験に挑んでいた
終わった瞬間に生き返ったかのようにピンピンして「ほんとにありがとっス!」と言って去っていく
こちらとしては本当になんだったんだって感じだが、まあ彼の試験の出来が良くなったならいいかと思い片付けて帰ろうとするとまた呼び止められた
「あの、」
『はい』
「算数の最後の問題、答えいくつになりましたか」
『…15』
答えが一緒だったのか不安そうだった水色の瞳がこちらを向き、表情が少しが明るくなる
そして彼は「ありがとうございます。すいません」と荷物を持って出ていった
気づけば教室に1人になってしまっており、忘れ物がないか確認しているとふと気がついた
『最後の問題の答え、黒子の背番号と一緒だ』
先程の彼の明るくなった顔を思い出しながらカバンを持って、学校を出る
無事であれば始まるであろう中学校生活が少し楽しみしながら、校門の前に立つ赤い髪に向かって手を振った