第24章 頼って
第3者side
「…寝ているのだよ」
緑間の腕の中では先ほどまでボロボロと涙を流していた苗字が眠っていた
恐らく泣きつかれたのだろうと考えた緑間は保健室の端にあるベッドに寝かせようと再び横抱きをする
「見た目より軽い」
前に赤司から苗字の家が橙崎だと聞いたことを思い出し、こいつも苦労しているのかと緑間は考える
ベッドに下ろした彼女を見た瞬間、緑間は驚愕した
「…体が透けているのだよ!」
試しに手首を触ってみるが普通に触れるため、消えているわけではないと分かったらしい緑間は安心したのか溜め息を吐いた
ちょうど授業終了のチャイムが鳴り、緑間が連絡したわけでもないのだが赤司が苗字を見に保健室へとやってきた
「…緑間、何をそんなに驚いているんだ」
「苗字が、透けているのだよ」
「…またか」
そう呟くと赤司は苗字の手を握り、「大丈夫だ」と眠る彼女に言い始めた。面子が面子なせいか余計シュールに見える
「…戻った」
「小さい頃から何回かあってね、なにもしなくとも直るのだが早く直すにはこうすると良いらしくてね」
「…さすがだな」
赤司は空いている方の手で苗字の目尻に浮かんでいる涙を拭い、頭を撫でる
頬の絆創膏が目立つからか赤司が何があったのかを問い掛け、緑間はそれに苗字から聞いたことを大まかに説明する
その話を赤司はあまり良くは思っていないようだが、特にお灸を据えるつもりはないらしい
ちなみにその頃紫原と黄瀬は昼休みから一向に戻ってこない苗字を探し歩いていたそうだ