第24章 頼って
征十郎と別れて自分の教室へと向かう途中、強い風が吹いて持っていた帝光祭の資料が飛んでいってしまった
なんだか嫌な予感がするが、さすがに資料を失くすわけにはいかないために遠くまで飛んでいってしまった資料を追いかける
階段の方まで飛んで行ったそれを追いかけていくと、踊り場で数人の女子が集まっていた
「苗字サン、だっけ?」
予鈴がなったのに動かない人物なあたりから見たくないが、話しかけられてしまった
さすがに無視するわけにはいかず、足を止める
『…そうですけど』
「アンタ、赤司様のなんなワケ?」
『ただの幼馴染です』
「ていうか、黄瀬君のこともたぶらかしてんでしょ、尻軽」
『…むこうが勝手についてくるだけで、何もしてませんけど』
ドラマや漫画で何度も見たことのある光景。面倒な展開になりそうだと察する
そこら辺に散らばる資料を集めて腕に抱え込むと態度が気に食わなかったのか、頬に見事な平手打ちが来た
『散ってください』
「…は?」
『今なら何も言いませんから、早く散ってください』
「なんなの偉そうに!」
違和感がある頬に触る。彼女たちの詰めが長いのか、それが平手打ちの際引っ掛かかり傷になったのか指先に血が付いている
指を切ったり平手打ちされたり散々な1日だと考えながら、相手にする方が疲れるかと背を向け階段を1段下りると背中を押された
とんでもない状況だが、脳は冷静だった階段から落とされるなんてどれだけありきたりなのだろう
周りがスローモーションに見えてきて、このまま元の世界に戻るのかなぁなんて呑気なこと考えながら目を瞑る
しばらくすると体に衝撃が走った