第28章 虹色の救出
「…お前の家でけぇな」
『そりゃ橙崎ですからね』
「橙崎って病院でじゃなくて他でも聞いたことある気がすんだけど…
なんだったかなぁ」
『あ、一応お父さんが仕事で…えっと…』
「もしかして橙崎って、赤司に並ぶ財閥じゃなかったか?」
『そのもしかして、です』
「!?」
その驚き方も分からなくもない
あたしだって先月急に教えられて、未だに実感がわかないのだ
とりあえず門の鍵を開けて、広い庭に入り虹村先輩を手招きする
『虹村先輩もどうぞ』
「あ、ああ、お邪魔します」
『いや緊張しないで下さいよ』
ガチゴチになってあたしの家の門をくぐる虹村先輩
…色んな大丈夫かな
しばらくこれでもかと広い庭をキョロキョロと見ていた先輩は、率直に感想を述べた
「お前、こんな家だと恵まれてんのか恵まれてねぇのか分かんねぇな」
『逃げてて助けてもらったのが橙崎ってだけらしいですから、恵まれているのかと思えば恵まれてるんでしょうね』
「ラッキーにも程があんだろ」
家の中に入り、ここで待ってて下さい。とどこか落ち着かない様子の虹村先輩に伝える
アメリカに虹村先輩のお父さんの病気に詳しい先生が居る。と小説版で言っていたのを思いだし、その人の色々な情報を渡そうと家に寄ってもらったのだ
『あ、あった』
その人の名前などをササッとメモに書き、虹村先輩の元へと戻る
…あの人はいつまで緊張しているのだろうか
今家にはあたしと多分お手伝いさんくらいしか居ないのだが
『はい。これです』
「あ?なんだこれ」
『虹村先輩のお父さんの病気に詳しい医者の名前と、勤め先的なものを書いたものです』
「!」
『お節介ですけど、良かったらどうぞ』
「サンキュ」
『じゃ、行きましょ』
「ああ」