第28章 虹色の救出
あのあと、いつまでも病室に残っているわけにはいかないためにあたしと虹村先輩は病室を出て近くの公園に来ていた
ちなみにあたしの手には虹村先輩が奢ってくれたスポーツドリンクがある
「質問良いか?」
『何でしょう』
「親父が冬…いや、俺が卒業するまで生きてられるってのは、本当か?」
『あの時にあの状態で嘘が吐けると思いますか?』
「お前ならやりかねねぇからな」
虹村先輩の言葉にはぁ…と呆れた溜め息を吐く
普段のあたしの態度がいけないんだけれども
『そこまでバカではありませんよ
無理さえしなければ、来年の今頃まで元気な筈です』
「医者からは今年の夏でも厳しいって言われてんだけど
大丈夫なのか?」
『それは医者の予想、あたしは眼での予測』
いや本当は小説からだからあたしの眼の力ではないんだけれども
「マジ、か…」
『この間征十郎にも話したんですよ』
「…赤司にか?」
『その小さい背中に色々と背負い過ぎだから、肩の力抜いてみなよ
って』
「…」
『確かに資質としては征十郎の方が上かもしれないけど
まだ1年程しかやっていない後輩に主将を任せるって言うのは、荷が重いと思いますよ』
「そう、か…」
『ま、虹村先輩も色々背負い過ぎだとおもってますけどね
主将だからって、気を張らなくても良いんですよ』
あたしが虹村先輩のほうを見て笑いかけると先輩はヘラッと笑い返してくれて、こちらも肩の力を抜いてくれたようだ