第28章 虹色の救出
適当にそこら辺の道を真っ直ぐスタスタと歩いてとりあえずエレベーターを目指す
その途中で虹村先輩は少々焦った様子で話し掛けてきた
「お、お前さっきのマジか?」
『マジです』
「でも、苗字が違くね?」
『それは帰り話すんで、今は先輩のお父さんに会わせて下さい
あたし病室分からないんですから』
「あ、ああ」
目的地に着いたため、とりあえずエレベーター乗り虹村先輩にナビを任せる
あたしがいくら人の体調が分かっても人の考えることまでは分からないよ
「この階だ。先降りろ」
『どうも』
あたしの前をスタスタと歩く虹村先輩は、帝光中の主将だけあって目を集めている
その内の半分以上は制服に目を引かれているのだと思うけれど
『先輩だいぶ目立ってますね』
「いやお前の方が目立ってんだろ」
『虹村先輩が帝光中の主将で有名だからですよ』
「でもお前はそれを辞めようとしてること知ってんだろ?」
『そうですけど?』
「…誰かに言ったりしてねーだろうな」
『まさか
帰りに橙崎の理由を話すんですからイーブンですよ』
「…なら良いんだけどよ」
後ろから見える虹村先輩の顔は不満そうな表情を浮かべているわけで
少し、罪悪感に浸るわけです
「ここだ」
『…分かりました
先にどうぞ』
ドアをノックして引き戸をあける虹村先輩
その姿に隠れている壁にあるネームプレートには虹村と書かれているのが目に入り、少し胸元がキュッとした