第28章 虹色の救出
『あ、こっちです』
「待たせたな、行くぞ」
『はーい』
放課後、本来なら部活の時間にあたしと虹村先輩は病院へ向かうため校内で待ち合わせていて、今先輩が来たからその病院へと向かうのだ
「#NAME2#」
『うっす』
「悪いな、お前まで休んでもらっちゃって」
『あたしから行きたいって言ったんだから当たり前です
周りから茶化されませんでした?』
「コーチに言っただけだからな
大丈夫だった」
『それなら良かったです
また噂が出たら絶対に流行しますもん』
「あー、あん時は悪かったな」
『大丈夫です
くしゃみしたあたしが悪いんですから』
「そらそーだな」
いやそこ嘘でも否定してよ
ふぅ…と溜め息を吐き、緊張でバクバク言っている心臓を少しでも和らげようと努力する
しかしどうしてか心臓はバクバク言う一方だ
「お前、交流試合の時の黒子みたくなってんぞ」
『う』
交流試合の時はバイブレーションの物真似なんて言って悪かったテツヤ
その時のテツヤほどではないけど、あたしもかなりバイブレーション化してるわ
「お前が心配するほど親父は怖くねぇよ」
『…そこを心配してるわけではないんです』
今の言葉の通り、あたしは虹村先輩のお父さんに会うから緊張してるのではない
実際に言えば征十郎のお父さんを叱った(?)時の方が気にはしていなかったが、緊張していた
一体どこに対して緊張しているのかと言えば、虹村先輩に主将を継続してもらえるよう説得できるかが緊張しているのだ
もしもうまく行かなければ
征十郎はまたプレッシャーから皇帝赤司になってしまう可能性がでて、あの日の練習風景が壊れていくことになってしまうのだ
それだけは、絶対に避けたい