第22章 黄色の入部
「祥吾くーん、練習終わったあ?」
「おーワリワリ、今終わったわ」
「ぎゃっ!ちょ…汗だくじゃん!」
「すぐシャワーあびっから。ついでに一緒に入る?」
「やだー、もー」
…語尾にハートつける勢いで言うチャラめの女の子。彼女は一部で有名だった
『え?あれって…最近できた黄瀬の彼女じゃ…?』
「あれ?涼太くん?」
「あーアイツ、なんかオレに勝負挑んで負けたトコ」
「マジ?うわーなんかダサー」
「つーわけだじゃーなリョウタ君。あと苗字」
『ん?』
「オレはリョータなんかに、負けねぇよ」
この後負けるくせにと言いたいが、今現在負けているわけだから何も言い返せない
ただ彼の態度は気に食わないし、バスケ部に関係ない女が体育館内にいるのも癇に障った
『…灰崎の彼女さんだっけ?』
「そーだけどお?」
彼女の腰の横あたりの壁に向かって足を力強く置く。自分の足に痛みが走った
予想外だったのか彼女は目を見開いている。あたしより背は低いだろうか、細いから力を入れてしまえば潰せそうだ
『勝手に涼太の彼女、名乗んな』
灰崎に睨まれる。ただここで涼太を灰崎にバスケで勝てず、彼女も取られた男にはしたくなかった
女は特に何もせず、「めんどくさー」と言いながら灰崎と一緒に去っていく。足を下ろすと周りからのどよめきと、あたしへの視線がすごい