第22章 黄色の入部
そんな彼の横に移動し、隣にいる虹村先輩の方を見ないようにしながら彼との距離を少し詰める
周りには聞こえないよう小声で話し掛けた
『…虹村先輩、続けてくれるんですよね』
「心配しなくてもそのつもりだっつの、ついでに質問させてもらう」
『急にですね』
「お前は、本当に中学生か?オレのことと言い赤司のことと言い、どこか冷めてねぇか?」
『はは、流石に留年してないですよ』
「…そうか」
『じゃあ、片付けしてきます』
片付けをするものなんてないが扉を出て、焦っている状態の心臓を落ち着かせるように左胸に手を当ててうずくまる。虹村先輩、征十郎並みに鋭すぎでしょう
溜め息を吐いて立ち上がると、ちょうど征十郎が扉から出てきた
「名前」
『征十郎、もう帰るの?』
「黄瀬君と、ずいぶん仲が良いようだね」
『ああ…テツヤへの態度の話?』
「話が早くて助かるよ」
彼は自分で決めずに相談してくれるようにもなった
なぜその相談を監督や主将ではなくあたしにしてくるのかは疑問だが、すべて抱え込んでいた時よりマシだろう
「今度2軍の練習試合での同伴を黒子と黄瀬にさせようと思っているのだが」
『うん。良いんじゃない?』
「マネージャーの同伴、名前が行くかい?」
『あたしは良いからさつきにしなよ。まだ疑ってるみたいだし』
「いいのかい?」
『いいよ。それはさつきが行くのが今回は一番いいと思う』
「…分かった」
そうしたらきっとさつきは流れ通りテツヤに惚れるだろうとこの後のことを考えつつ
もしこの時さつきが帯同していなかったらどうなっていたんだろうなんて、ありえない未来を想像しながら体育館のにぎやかな声に耳を澄ませた