第3章 帝光に行かないか?
彼の時間がどんどん減っていき、顔を合わせる機会が減っていく
学校とクラブでは会うが遊ぶという機会はめっきり減り、このまま来年小学生を卒業しさよならするんだろうか
そんなこと考えているある日の昼休み、図書室で隣に座っている彼は言った
「名前」
『んー?』
「帝光中に行かないか?」
『…は?』
彼はあたしを帝光中へ行こうと誘ってきた。その言葉は想定外
たしかに他の人に比べれば仲は良いと思っているが、まさか誘われるなんて思っていなかったため目を見開いて彼のことを凝視してしまう
『あ、いや』
「何だ?」
『え、あたし?良いの?』
「どうでも良い奴を誘うほどオレは優しくないよ」
その言葉はすごく嬉しいが、こんな冴えない奴で良いのだろうか
前の世界よりは顔きれいになっていたけれども。まあ流石は2次元というべきか、ふむ
いや別に彼に対して見る目がないと言っているわけではない。ただ単に…あたしが行って、あたしで良いかというところがすごく不安なだけだ
『…あたしは、いいけど』
「ああ…ありがとう」
また綺麗な笑みを浮かべる彼は本当に嬉しそうで、頼まれた側のあたしも嬉しくなってしまう
その日の夜に 雪さんと雨さんも相談したところ「いいんじゃない?」と賛同をもらえ、それをきっかけにあたしは中学バスケ界最強と謳われる帝光中学校を目指すようになったのだ
でもよく考えて欲しい、元は高校生が小学生に負ける訳には行かない
勉強しないでも大丈夫なような気がするのだが、それで落ちてしまったら今の両親にも、征十郎にも申し訳なくなってしまう
今まで勉強してなかった訳では無いがするようにするとふと気づいた
『なんか高校生の頃より、頭良くなってる』
ただの思い込みなのか、バスケが出来るようになったのと同一なのかは分からないが悪いことではないから喜ぶべきこと
頭がいい人ってこんな感じなんだなと思いながら、受験勉強をつづけた