第6章 鬼ごっこッス!
『はぁ…』
学校全体(校舎内も可)を使って鬼ごっこなんて、疲れるだろうなぁ…
ただでさえ、上級生(2年生は半分)と鬼ごっこなんて疲れるのに
そんな風に愚痴を言いながらも学食無料券という謎の力に引き寄せられて、しっかりと鬼から逃げていた
『とりあえず、ここ入ろうかな』
そう言って選んだのは使われていない空き教室。恐らく誰もいないだろうと推測したからだ
予想は当たっていたのだが、中に入ると廊下からドタドタと大勢の足音が聞こえてきた
「「「黄瀬くぅーん!待ってぇー!」」」
「ちょ、先輩方!タンマッス!」
こんな所で騒がれたら絶対見つかる。って言うか先輩って言ってるから鬼だよな?
…仕方ない!主要キャラとはできるだけ避けたいが、今回は特別だ!
そう思ってもう1度ドアへと近づいて、自分にひたすら言い聞かせた
『…仕方ないんだよ。今回だけ。今回だけ』
来るであろうタイミングの少し前にドアを開けておき、スタンバイしておく
そしてちょうど来た黄瀬を掴み、引っ張って中に入れる
…多分掴んだのは腕だ。もしくは脇腹だが…もう何でも良いから早く中入れ!
「ちょ、なんスか!!」
『しっ!』
そしてそーっと気づかれないように。とドアを閉める
あたしの横で黄瀬涼太はなんだこの女。は?みたいな顔をしていた(多分もう少し優しく思ってくれている)
その顔を横目で見たあたしは何となくやっちゃったー…と思いながら、沈黙が続いた