第1章 プロローグ
意識が浮かんできて目が覚めた。全身が痛い
恐らくベッドにいるのだろう。体が柔らかいものに包まれていた
真っ白な空間を保健室か何かと考えたが、違うことに気づいた。近くに点滴が置かれている
おいおい階段から落ちただけなのにどういう事だと考えていると、女の人がやってきた
「あら、起きた?大丈夫?」
『…』
「喉が乾いてるのね、お水どうぞ」
声がカスカスで、恥ずかしいと思いながら起きようと布団をどかすと自分が身に付けているものが目に入った
制服ではなく、とっても可愛くプリティー、フリフリなパジャマを着ていた…あれ? それよりも…こんなに体小さく、軽かったっけ?
手を見ると小さく縮んでいる。まるでこれは某名探偵ではないかと思いながら焦る
「大丈夫そうね、よかった」
『…え?』
「#NAME1#ちゃん、あなた保護されたのよ?」
ふと目の前の女の人の言葉に驚いて、自分の置かれている状況を確認する。ここはとりあえず病院だ
でも保護?保護とは一体なんなんだろう
ああ、どうしようか。自分の置かれている状況がまったくもって理解できない
「名前は分かる?」
『…はい』
「そう、よかった。私も名乗らなきゃね」
女性はあたしの前に首から提げている名札を見せる
『雪さん、ですか』
「ええ、よろしく#NAME1#ちゃん
混乱してると思うけど、少しずつ検査とか、お話とかして平気かしら」
『もちろんです』
そこから聞いた話を整理する限り、あたしはどうやら小学生で、とある事情で家を出たらしい…が、それはオブラートに包んでほぼ捨てられたと言っていいだろう
というよりも、小学生というのならばずいぶんとあたしは大人びた小学生になってしまうのではないろうか、この女性も何も突っ込むつもりはないらしい
とりあえずこのままでいれば良いだろう。きっと何も問題はない。いつかは家に帰れるはず
「良かったら、私の家で暮らさない?」
『で、も』
「大丈夫よ、何1つ不自由はさせないわ」
『…お願いします』
頭を下げたその瞬間、身体がズキリと傷んだと共に心も痛みを感じる
目の前にいる女の人の笑顔には影があり、それもなんとなく気になったが口に出すことはどうしても距離を感じてしまって、出来なかった