第27章 赤色への期待とそのおもさ
『せ、征十郎?』
あれからしばらく征十郎の背中を規則的に叩き続けた結果、声を掛けても全く反応が無い
あっても規則的な呼吸に涙が流れ落ちているだけだ
『征じゅ…え?』
その瞬間にあたしの上に乗っていた征十郎はあたしの向きごと変えて、抱き枕にされたのだ
えええええっと、顔が近い!
て言うか抱き締められてるとかこの展開何!?
「#NAME1#…」
こんな時に人の、あたしの名前呼ぶなよ!
て言うかなんつーか、ドキドキするって言うか…
・・・そいえば征十郎風邪ひいてるんだよね
熱下がったかな
ふと思い出したことに自分の手を征十郎のおでこに乗せ、熱が下がったかどうかを確認する
『…下がったみたいだね』
風邪薬は飲んでないけども下がったみたいで良かった
心で思って安堵の溜め息を吐く
そうして今でも目から流れ落ちている征十郎の涙を拭い、じーっと観察する
泣くのは、意外だったかな
一応原作でどこか期待やプレッシャーに困ってそうなキャラだな。とは思ってた
それを取り除いてあげただけで、少し肩の力を抜かせただけで普通の男の子に戻るとは思ってもみなかった
今日の一連のことにより恐らく皇帝赤司は会えない、消えてしまった可能性が高くなる
でも、この間の練習風景を守れるなら…良い、かな
「#NAME1#…」
『…さっきからよく呼びますね』
征十郎の寝言に返事を返すとキューッと抱き締めてくる
当たり前に心臓はドキドキするが、とりあえず征十郎の首元に顔を埋め、腰辺りに腕を回し抱き締め返す
『おやすみ、征十郎』