第22章 黄色の入部
「いつも言ってんだろォー?ハラへってるとか、そーゆーんじゃねーんだよ
人が食ってるもんってやたらうまそーに見えるからよォ、ついな」
「オレはハラへってねーのにとったりしねーよ」
『青峰、そう言う問題じゃないから』
ペロッと指についたソースを舐める灰崎を見ながら青峰に人のものを取ってはいけないと指示するが、どうせまたテツヤあたりからおかずの横取りをするのだろう
変わらない青峰の姿を想像していると、何かを思い出したかのように緑間が喋り始める
「そいえば今日から1人、2年が1軍に上がってくるらしい。始めたのはつい2週間前らしいオレ達以来のスピード昇格だそうだ名前は黄瀬涼太」
「…え?あ!そいつオレ知ってるわ!前会った」
「…ふーん黄瀬涼太、…ね」
「珍しいな灰崎お前が人の名を覚えるなんて」
「いやぁ…ま、カンだけどな、なんとなくけっこうやりそーじゃん。そんで仲良くはなれなそーだ」
実際に仲良くなかったことを知っているが、ギスギスした雰囲気は嫌だなと考える
ふと券売機に涼太の姿があったので、雰囲気を変えるためにも話題を逸らすことにした
『涼太ならそこに居るよ。て言うかあたしと紫原同じクラスだし』
「えー?そうなのー?」
『ほら、あのモデルで有名な』
「…えー?分かんなーい」
『まあ良いや、ご飯食べないと時間無くなるし』
「名前は黄瀬君と仲良いのかい?」
『…バレンタインに義理チョコあげるくらい?
ていうか征十郎も去年同じクラスだったよね』
「あまり関係はなかったかな」
『うーん、そうね?』
「今日彼が来たら、体調チェック項目に彼の名前を追加しておいてくれ」
『もちろん』
味噌汁を啜ったあと去ろうとしている灰崎に、彼も彼自身にその気があれば救おうと思い声をかける
『あ、そうだ灰崎』
「なんだよ」
『練習サボってると、追い抜かれるちゃうからね?』
サボろうとする彼を無理やり参加させてどうなるかわからない。どこまで干渉していいのかわからず、それしか言えなかった
それをどう受け取ろうが、練習をサボろうが灰崎次第なので何とも言えない