第27章 赤色への期待とそのおもさ
「#NAME1#、あの
『征十郎は頑張ってたよ』」
クルリと振り返ると彼はいつもの凛とした態度とは違い、とても年相応な顔をしていた
いい顔してるな。と思いながら彼の首に腕を回すと多分涙がこぼれたのだろう、肩に何かが当たった
『だけど少し肩の力抜いても良いんじゃないかな?
もう征十郎のお父さんにとって征十郎は自慢の息子なんだし』
そう言いあたしが征十郎の頭をよしよしと撫でると、それに反応したかのように枯れの両目から大粒の涙がボロボロと落ち始めてあたしの肩を濡らした
『ほら、部屋戻ろ?
あくまでも征十郎は今病人なんだから』
「っ、ああ」
肯定を示した征十郎の手を取り部屋へと足を進める
この家は寂しい気がしたけど少しだけ暖かさが戻った気がすると思いながらのんびりと、征十郎のペースに合わせながら
『ほら征十郎、薬飲んで
一応、水じゃなくてスポーツドリンクでも良いから』
着いて部屋に入った瞬間に手をほどき、薬の乗っている机へと向かう
13歳の分量は2錠。と書いてあるのを読んで手に薬をその数だけだして振り返った
『征十郎これ飲んでー
それと水を…うおっ!』
征十郎はいきなりあたしに抱き付いて来て、バランスを崩したあたしは征十郎のベッドへと背中からダイブ
左肩の辺りが湿ってきている事からまだ征十郎が泣いているのだとよく分かった
「#NAME1#」
『はーい』
「…ありが、と」
『無理しないで良いから泣いときな』
ポンポンと動きを制限させられている中で唯一動かせる右手で征十郎の背中を叩く
すると首辺りに暖かいものが流れ始めて、左肩がさらに濡れ始めたことにより、征十郎の涙が大きくなったことが分かった
途中途中小さく声が聞こえたことから、彼も年相応なんだなと無意識に笑みが出た