第27章 赤色への期待とそのおもさ
『それじゃあ思い立ったら吉日!
ということで征十郎と改めて話しでもどうぞ』
「…改まると照れるな」
『いや、この会話そこの陰に隠れてる征十郎に丸聞こえだと思いますよ』
「「!!」」
『親子でしっかり、話して下さいね』
スッと横にずれると顔を少々赤くした征十郎が少しずつ前に来はじめた
先ほどのあたしの言葉に少し間が空いてしまったものよ、先に征十郎のお父さんが話し始めた
「今まで…私の勝手に決めてきてすまなかったな」
「父さん」
「これからはたくさん話す
それにいつでも連絡してくれ遅くなっても必ず返そう」
「は、い」
そう返答をする征十郎の顔はまっすぐ前を見ているが、目は少し涙を浮かべていて、声も少し高くなっている
そのことから頑張ってたんだなぁ…としみじみ思って、少しの間だけ目を閉じた
「今からでも話したいのだが会議が入っていてな、また話そう
橙崎の娘よ、礼を言うよ」
『ふふ、大丈夫ですよ』
「代わりと言ってはなんだが、これで体調を治してくれ
お前は、私の自慢の息子なんだから」
「とう、さ」
「では、失礼するよ」
そう言って立ち去る征十郎のお父さん
その前に貰っていたのはスポーツドリンクに生姜のど飴とか、風邪に良さそうなもの
…結局心配してんじゃん
そう思いながら、あたしと征十郎はその背中を見送った