第27章 赤色への期待とそのおもさ
『…あなたは、征十郎のことをどう思ってるんですか?』
「もちろん、息子だが」
そうだよね。征十郎が女子には見えないもんね
あ、そういう問題じゃないけど
でもさ、あたしはそんな当たり前のことを聞いてるんじゃないんだよ
『何嘘吐いてるんですか
征十郎を、赤司の駒としか思ってないくせに』
「…何だと?」
『赤司の子供だからって、橙崎の引き取られた娘だからって何なんですか?
そんな世間からの評価気にしてもつまらないですよ
彼だって極普通の子供で、今なら壁にぶち当たったり、親に反抗してるはずなんですよ』
「それが、どうした」
それがどうしたじゃないよ。これが普通の中学生のはずなんだよ(多分)
人より繊細で傷付きやすいのにこの人は…
ぶん殴ってやりたい。の気持ちを抑えて征十郎のお父さんの目をキッと睨むと少し後ずさったのが分かった
『征十郎がどうして、父親であるあなたに他人行儀な態度をとるか分かりますか?』
「それは…
『あなたが赤司の鎖に縛り付けて、あなたが形のみの父親だからですよ
私は確かに引き取られた身ですが、両親に反抗してませんが、あなたのやっていることよりは家族と言えるでしょう
征十郎は、あなたの妻を忘れる道具じゃないんです!』」
「…」
『だからお願いです
これ以上征十郎に期待やプレッシャーをかけないで下さい
このままでは彼は…全くの別人のようになってしまうんです』
「私は、征十郎の気持ちを踏みにじってたのか…」
『間違ってたなら正せば良いんです
まだまだ時間はあるし、直すことも可能ですから
まあ…受け売りですけどね』
征十郎のお父さんに笑って見せると、フッと大人カッコいい笑みを見せてくれた
本当にダンディな笑みでした
ふぅ…と息を吐いて呼吸を整えると、後ろから少しだけ鼻を啜る音が聞こえた
…大丈夫。重い荷物は全部とってあげたから