第3章 帝光に行かないか?
「#NAME1#ちゃん、おかえりなさい」
『みなさん喜んでましたよ』
「本当に?やっぱり人に喜んでもらうって嬉しい」
『ええ…本当に』
目の前にいるどこか雪さんと同じ雰囲気を持つ女性は赤司征十郎のお母さん
纏う雰囲気も、動作も、言葉遣いもすべて優雅で征十郎の原点なのだとなんとなくわかる
「征十郎は次の試合も出るかしら」
『どうでしょう…まだ5年生6年生がいますからね…
でも最近はいつも以上に動けてましたし…上級生にも負けないくらい動けてましたもんね』
「ええ…征臣さんも見にくればよかったのに…」
『後から来るんじゃないんですか?』
「どうかしら、仕事が長引かなければいいけれど…」
こんな休日にも仕事だなんてなかなかの働き者というか、馬鹿というか、ああそうしたらこの日本どうなってしまうんだ
「あら…征十郎いないわ」
『やっぱりさっき出たからですかね…』
少しシュンとしてはいるものの息子が出なくともしっかりと応援する姿は素敵で、全国の運動会を見に行くご両親はこれを見本にして欲しい
しかしそんな姿を見ているとどうしても思い出してしまう。征十郎のお母さんが亡くなったのは、彼が11歳の頃のことだと
『(こんなに元気なのに)』
本当に元気かどうかは分からないが息子のチームメイトに差し入れを作ったり、こうやって応援に来たり特に体調に問題はなさそうなのに変わらないのだろうか
「あ!征十郎!」
『応援しましょ!』
「ええ!もちろん!」
この人が征十郎の拠り所だから、居なくならなければああいったふうにはならなかったのだろうかととても細かく覚えている帝光編を思い出す
横で息子を応援しているこの人が居なくならないことをどこかで願いながら征十郎のいるチームへ声援を送った