第20章 黄色と緑色の遭遇
「ほんっとーに名前っちその格好似合ってるっス!」
『はいはい、ありがとう』
「嘘じゃないっスよ!?部屋に飾っときたいくらいっス!」
『それ誘拐だからし、あたし飾られても困るわ』
「例え話っスよ」
そんな会話をしているとドリンクより少々遅れながらもケーキが運ばれてきた
真っ白なクリームの上に真っ赤なイチゴが乗ったケーキを、口元へ運ぶ
『あ、美味しい』
「やっぱり!ここ姉ちゃんがおすすめしてたんスよー!」
彼も同じケーキを頼んでいたので、あたしより若干減っているショートケーキが彼の前に置かれている
ゆっくり味わいながら食べていると、フォークを使って食べ進めた
「あの、名前っち聞きたいことあるんス」
『ん?』
「…彼氏がいるって噂、ほんとっスか」
『また随分昔の話を…いないいない』
「そうなんスね!」
恐らく征十郎か和成の時に流れた噂だろうと予想しながら飲み物を口にする
涼太が楽しそうなので、話を聞きながらショートケーキを食べ進めた
「もうすぐ2年生っスねー」
『そーだね』
2年生になったら涼太がバスケ部に入って来はずだ
面倒なことにならないといいなあと思いながら、既にこの先面倒なことが起きることを知っているあたしは少し気分が落ち込む
「オレ2年生も名前っちとまた同じクラスになれるよう祈っとくっス!」
『祈って同じクラスになれるものなの?』
「おまじないが1番スかね?」
『女子か』
来年涼太は紫原と同じクラスになるはず
もしおまじないが本当に効くんだとすれば紫原と同じクラスになるわけかと、来年度の帝光祭の記憶を蘇らせた