第20章 黄色と緑色の遭遇
元々着ていた服はお店の人がショッパーに入れてくれたので、それを持とうとしたらそれまで涼太が持ってくれた。なんとも言えない気持ちになる
お礼を伝えると、彼は嬉しそうに笑っていた
『デートって言っても、何するの?』
「そうっスね…名前っちどこ行きたいっスか?」
『家、1人で』
「それ帰りたいってことっスか!?「ヒドッ!!」
『だってデートなんてしたことないし…』
「適当で良いんスよ?」
『えー、じゃあカフェ行きたい』
よくわからないため適当に思い付いた場所を口にすると、満足したのか彼は笑う
「りょーかいっス!オレがオススメする場所で良いっスか?」
『逆に助かるよ』
「ケーキが美味しいとこなんスよ」
『太らせる気か』
「1つだけなら大丈夫っスよ!」
『その1つが命取りと…「ならないっスよ!一緒に食べ行こ!」』
涼太はあたしの手を取って自身の手と重ねる。びっくりして一度手を引っ込めると、彼が微妙な位置にある手をもう一度掴む
「デートなんスよ!繋ご!」
『…ハイ』
そう言って歩き出して、またもや目的地が分からないままあたしは涼太に合わせて足を前に進めた
「名前っちはどのケーキ食べたいっスか?」
『涼太のオススメは?』
「無難にショートケーキっスね」
『じゃ、それかな』
涼太オススメのカフェに来て、通されたのは店の1番端の席、窓もなくてほぼ個室に近い空間だ
注文を取りに来た店員にショートケーキ2つと飲み物を頼み、一息つく
『…変な噂にならなきゃ良いんだけど』
「名前っちなら大歓迎っス!」
『歓迎しなくて良いです』
彼に歓迎される前に涼太のファンの子にボコボコにされるわと思うが、口にするわけにもいかないので心の中で呟く
ちょうどいい良いタイミングで来た飲み物を飲んで小さく息を吐くと、目の前の彼は変わらずニコニコしていた