第26章 彼の欠席
春が近くなってきて、もうマフラーは必要ないかなぁと思うけども夜の冷え込みはすごくて、帰りはマフラーを手放せない季節のこと
『おはようです。お母さん、お父さん』
「おはよう#NAME1#ちゃん」
『あれ…お父さんは』
「さっき秘書の人から連絡あってねー、急に出張ですって
私も少し仕事で帰らないから鍵を持って出掛けてね」
モグモグと目の前にあるトーストを食べ始めるあたしに告げる#NAME4#さん
『了解です
今日明日ですか?』
「ええ。明後日の朝に帰って来れると思う」
『じゃあ忘れたら友達のとこ泊まられせてもらいますね』
「まあ休みの日だし、忘れても大丈夫だと思うけどねー」
フレンチトーストを焼きながら言う#NAME4#さん
その姿を見て、つい先日話してもらった#NAME4#さんと#NAME5#さんの仕事を思いだし、少し胸が苦しくなる
そこでタイミングを見計らったかのようにメールの着信音がして内容を確認する
『珍しい…』
"風邪を引いたようなので部活を休む"
そのメールが読み終わったと同時に席を立ち、バッグを手に取る
『それじゃ、行ってきます』
「ええ、行ってらっしゃい」
外に出て門を見ると、昔から変わらない表札があり小さく溜め息を吐く
まさかとは思ってたけど、本当にこうなるとはな