第19章 お返しくれる?
放課後、征十郎と共に部活に行こうと歩いているとよく見たことある水色の髪の後ろ姿が前にいる
名前を呼ぶと彼は振り返り、こちらが到着するまでその場で待ってくれた
「名前さん、赤司君。こんにちは」
「一緒になるのは珍しいね」
「はい…あ、こんなところで申し訳ないですが、良かったらこれどうぞ」
彼の手には個包装のチョコレートが入った箱がある。あたしに差し出してきているあたりバレンタインのお返しなんだろうと察した
『お返し?もらっていいの?』
「はい。バレンタインにもらったので」
『このチョコ美味しいよね、ありがとうテツヤ』
「こちらこそありがとうございました。美味しかったです」
一時期に比べて喜怒哀楽は薄くなってしまったが笑顔を浮かべるテツヤにつられて口元が緩んでいると、背後に存在感を感じる
くるりと振り向くと紫原が立っていた。視線がテツヤからもらったチョコに刺さり、彼の目が煌めいた
『…紫原』
「おつかれーお菓子?オレも欲し~」
「すみません。紫原君の分はありません」
『バレンタインのお返しにもらった』
「あーそうだった。オレも持ってきたよ~」
『え』
カバンの中をガサゴソと探し始める彼を待つ。次々お菓子が出てくるが、目当てのもの出てくるまで時間がかかり手伝おうかうずうずしてしまう
そんな気持ちを我慢し少し待てば、テツヤもらったのと同じくらいの箱が出てきた
「はい、これお返し~」
『わ、ブラウニーだ。えー紫原がこんなの選ぶなんて…』
「姉ちゃんに選んでもらった~」
『ああ、納得』
「美味しかったよ~」
「自分で食べてるんですね」
「紫原は大体美味しいって言うだろう」
「そんなことねえし」
もらった2つをカバンに仕舞い、4人で歩き出す
あたしも更衣室で部活用の服に着替え体育館に向かっていると、同じバスケ部1軍の人から呼び止められた
「苗字さん、これお返し」
『ありがとうございます!』
「あー!あれ美味かった!オレからも!」
『わーありがとうございます!』
次々お返しをもらってしまいどうしようかと考える
まあステージの上に置いておけば邪魔にならないかと考えながら体育館の中に足をいれると、入ってすぐのところで緑間が立っていた