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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第19章 お返しくれる?





着替え終わったところで虹村先輩が何とも言えない表情をしていることに気が付いたので、首を傾げる


「…ここで着替えんじゃねえよ」

『いや履いただけじゃないですか』

「だとしてもせめて体育館倉庫行け!」

『…ああ、期待に沿えずすみません』

「期待してねえわ!」


からかうように笑っているとボールが飛んできた。普通にキャッチし、何度かドリブルをする

特になにも考えないまま普段見ているシュートモーションを脳裏に浮かべ、手に持っていたものを放るとリングに掠ることなくネットを潜った

シュートが決まるたび少しずつ後ろに下がるが一向に外れる様子のない状況に、小学生の頃が脳裏に浮かぶ


「おま…すげえな」

『あ』


いることをすっかり忘れていたと、整わない体制でボールを放ってもリングを潜るそれにどこか気持ち悪さも感じてしまう

呆気に取られている彼が映る視界の端で、リングを潜った後のボールが転がっていた


「リレー出てたから運動出来るとは思ってたけど、そこまで出来るとはな」

『…どうも』

「女バス入った方がいいんじゃねえか?」

『退部しましょうか』

「お前いなくなったら赤司の面倒誰が見んだよ」

『虹村先輩では?』

「…オレより出来の良い後輩の面倒をどう見りゃいいんだっつの」

『彼の頼り先が多いことに越したことはないんで』


会話をしながらその場でボールを地面に叩きつけ、跳ねた返ってきたのをキャッチする行為を繰り返していた虹村先輩の動きがピタリと止まった

変なことを言ってしまっただろうかと彼の表情を見るが何を考えているのか分からない
割と喜怒哀楽は分かりやすい方だが真顔だとどうすればいいのか悩んでいると聞きにくそうに彼が口を開く


「赤司のこと、好きなのか?」

『…そう見えます?』

「いや、どちらかっつーとオレが弟と妹を心配するときみてえな感じだな」

『そうですね。弟みたいなもんなんで』

「そこは赤司が兄貴じゃねーの?」

『出来の良い弟なんですよ』


それに対し返答が無かったのでこのまま彼を見つめているのも気まずい

自分が投げたボールを拾いにゴール下へと歩いた






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