第18章 虹色の救出を
『あれ…?』
辿り着いた病院は見たことがある建物だった
もしかしてと予想をしていると、足を止めているあたしを虹村先輩が振り返って声をかけてくる
「苗字、行くぞ」
『あの、虹村先輩…』
「あ?」
『もしかしてここの医者の名前って…「あれ虹村君、今日はこんな早く来て、どうしたの?」』
声がした方に顔を向けるとナース服を着た女性が立っていた
なぜこんな病院の外にいるんだと思ったが、近くで入院中らしき人が散歩しており付き添いかと納得する
「こんにちは今日はちょっと用事があって早く来たんですよ」
「もしかして、隣に居る彼女の紹介?」
「ち、違います!ったく、やめてください」
「え?違うの?」
「同じ部活のマネ『初めまして、橙崎の娘の名前です』」
「と、橙崎先生の娘!?」
『はい』
ナースさんは目をまん丸くしてこちらを見る。隣にいる虹村先輩すらも予想外だったのか同じ表情をしていた
この病院は雪さんのお父さん。つまりあたしのお爺さんに当たる人が経営している病院。雪さんはここの先生である
『行き先が一緒だった先輩と来ただけで、残念ながら彼女ではないんです』
「あなたが、橙崎先生の娘…」
頭からつま先まで品定めされるように見られる。こんな反応珍しくない
だがここで油を売って時間かけるわけにはいかないと、動かない虹村先輩に声をかける
『行きましょうか虹村先輩』
「あ、ああ」
『それじゃ、失礼しますね』
よく分からない状況から逃げ出し、本来の目的の虹村先輩のお父さんの元へと向かうため、適当に歩いてエレベーターを目指す
その道中、虹村先輩は少し焦った様子で話しかけてきた