第18章 虹色の救出を
授業が終わり本来なら部活に行く時間、帰宅部の人と一緒に靴を履いて虹村先輩を待つ
同じ服の人しかいないせいか彼はキョロキョロして探している。手を振ると存在に気付き走ってきた
「待たせたな、行くぞ」
『はい。お願いします』
「悪いな、お前まで休んでもらっちゃって」
『あたしから行きたいって言ったんだから当たり前です。周りから茶化されませんでした?』
「周りには偵察行くって言ってある」
『それなら良かったです。噂が出たら今度こそ絶対に流行しますもん』
「あー、あん時は悪かったな」
『いいえ』
そう言いながらつい1、2か月ほど前に起きたあの事件を思い出す
お互い気にしないようにしているせいかもう誰も覚えていないと信じている
虹村先輩に続いてバスに乗った。緊張のせいか心臓がでバクバク言ってしまい、少しでも和らげようと努力したが、どうしてか動悸は止まらない
「お前、交流試合の時の黒子みたくなってんぞ」
『う』
交流試合の時はバイブレーションの物真似なんて言って悪かったテツヤと、誰にも知られていない悪口を思い出しながら自分の手が震えていることに言われて気が付く
「お前が心配するほど親父は怖くねぇよ」
『…そこを心配してるわけではないんです』
虹村先輩のお父さんに会うから緊張してるのではない。なんなら征十郎のお父さんとタイマン張った時の方が緊張していたと思う
一体どこに対して緊張しているのかと言うと、虹村先輩に主将を継続してもらえるよう説得できるかが緊張しているのだ
もしも上手くいかなければ…と想像をしている内に最寄りのバス停に到着したとか、虹村先輩に続いて下車した