第18章 虹色の救出を
初めてテツヤがパスに特化したプレイを見せた時のように虹村先輩の目は大きく広がる
「おま、なんでそれを…」
『虹村先輩がその事で主将を辞めようとしていて、征十郎に譲ろうとしているのも知ってます』
「なんでそこまで知ってんだよ、まだコーチにも話してねえんだぞ」
『この眼を買って体調管理担当にしたのは虹村先輩ですよね』
「…そう言えば、そうだったな」
『あたしの眼を使えば、先輩のお父さんが夏まで大丈夫か調べられると思います』
まだ誰にも話していない時期だろう。それならまだ間に合うし、2人も、上手くいけばそれ以上の人数も救えていいことなんじゃないかと考える
言葉に意味が分かったのか、バッとこちらに顔を向ける虹村先輩に笑顔は向けない。真面目な、大事な話だから
「お前…」
『だから、虹村先輩お父さんに会わせて下さい』
頭を下げると先輩の表情は見えないが、恐らく悩んだ顔をしているんだろうと想像がつく
それから1分も経たないうちに虹村先輩から「分かった」と言う声が聞こえて顔を上げる
『ありがとうございます。いつ頃、大丈夫ですか?』
「…明日の放課後どうだ」
『え…部活はいいんですか』
「休む。早いほうがいいだろ」
『いやまあ、確かにそうですけど…』
確かに不安を早く取り除けるのであれば早い方がいい
虹村先輩はそのまま明日の部活を休む旨を詳細は伏せてコーチに報告し、思っていたよりも早く彼の父親と会うことになってしまった