第18章 虹色の救出を
征十郎の看病をした数日後、彼の重荷を取ったのであればもう1人重荷を背負っていると言うべきか
はたまた征十郎に背負わせようとしている人物か分からないが、もうすぐ征十郎を次期主将としてあげようとしている虹村先輩を何とかしようと思い部活を始める
いつ切り出そうかと考えていると、選手全員の体調管理簿の記録が終わる
ちょうど休憩に入ったので、ドリンクを渡すついでに虹村先輩を引き留めた
『虹村先輩』
「あー?」
『練習終わったら話があるんですけどいいですか?』
「お?おお…」
彼は目を丸くしていた。終わって征十郎の自主練習を待っているところ虹村先輩から声をかけられる
本来は主将、副主将でミーティングするときや面談の際に使う部屋に入り、机を挟んで椅子に座る
『すみません虹村先輩、急に呼び出して』
「別に良いけどよ、どうしたたんだ」
『個人的な話なんですけど…』
そう言われて彼の表情が少し変わる。先ほどまでも緊張していたようだが、今は追加して変な汗をかいているように見えた
「お…お前、珍しく真面目じゃねーか」
『…本気って事ですよ』
「や、やめんのか」
『は?』
何を勘違いしているのかと思わず変な声が出てしまった。いつもなら「なんだその態度は!」とヤキを入れてくるはずだがそんな様子もない
「いや…改まった話されてっから…」
『…すみません。全然違います』
「そうか」
『虹村先輩に、頼みがあるんです』
大事な場面だ。緊張してしょうがない
これが上手くいかなければせっかく軽くした彼の重荷がもとに戻ってしまうかもしれない
そんな緊張を吹き飛ばすため、1つ深呼吸をして目の前の彼を見る
『虹村先輩の、お父さんに会わせて下さい』