第17章 赤色の欠席
どのくらい時間が経ったのか、眠たい目を擦ると窓から見える景色の下の方が赤いが、ほとんどが深い青に染まっている
『…あれ』
「おはよう。名前」
彼はいつの間に起きていたんだろうか
気がつけば征十郎は起き上がっており、彼のベッドで寝ているのはあたしだけなことに気がつき起き上がる
『体調どう?』
「名前のおかげでずいぶんと良くなったよ」
『そっか』
なんだか恥ずかしくなって来てしまったので彼のベッドから脱出する
体温計を探すため電気をつけると、彼がじっと見つめていることに気付いた
「…また、髪明るくなったかい?」
『え』
彼に言われ髪を確認する。何色と言っていいのか分からないが、いつだか思った烏龍茶よりかは明るくなっている
「ヘンナという色に近いかな」
『…何それ、ヘンナ?栗みたいな色だなとは思ってるけど』
「目も、少し明るくなったかい?」
『ええ…なんかやだなあ…』
今までのように目元に力を入れると、前回見た時には見えなかった数値が視界に映る
『…体温測ってみて』
「ああ」
彼に机の上にあった体温計を渡し終わるのを待つ
『何度だった?』
「37度1分。もう平熱だね」
『若干高い気がするけど、まあいいか』
彼の言った体温と、見えた体温は全く一緒だった
ただもちろん場所や状況によって変動するものだしあっていたのはまだ彼1人。整合性なんて分からない
「そろそろ部活終わるころかな」
『ちょっと早いんじゃない?』
そんな会話をした後、彼のお粥を用意して帰る準備をする
「帰っちゃうんだね」
『うん。明日の部活無理しなくていいよ』
「いや、行けると思うが」
『無理しなくていいって言ったばかりだけど』
「送っていこうか?」
『無理しなくていいって言ったばっかだってば』
引かない彼にしょうがなく玄関まで送ってもらい、1人で帰路を歩く
その日、征十郎と同じように彼を救おうと決めた