第20章 彼の誕生日
『・・・』
さらに今度はあれから1分経過した
だが征十郎はあたしの抱きしめたまま退こうとしない
別にハサミを突きつけられてるわけではないし、平気だから良いんだけども、心臓がさらにバックバクです
『征十郎?』
「#NAME1#は、どれだけ俺を心配させるんだ」
『…へ?』
「いや、何でもないから気にしないでくれ
とりあえず退くよ」
『あ、ありがとう?』
パッパと砂を払い帰ろうと思ったが、視線を感じてそっちを向く
「「「あ」」」
その視線の先にはさつきに紫原、顔を赤くさせた緑間が居た
「そそそ、そんなところで何をしているのだよ!」
「緑間、紫原、桃井覗き見とはまた悪趣味なことをしているな」
『いや、あたしをここで抱きしめた征十郎とあたしにも非はあるよ』
「わ、私見てないからね!」
『見てたんだね
紫原は?』
「赤ちんに用があって着いて行って後ろから抱き締められてるとこから見たー」
『最初からじゃん!』
最初から見られていたことに恥ずかしくなり、顔が熱くなっていくのが分かる
「とりあえずお前らは戻れ」
「「はーい」」
「とりあえず#NAME1#、帰ろうか」
『あ、征十郎
誕生日おめでとう』
「・・・ああ」
少しはにかみながら、嬉しそうに返事をする征十郎
その表情を隠すようにマフラーに顔を埋めた
帰り道、彼は機嫌が良かった(多分)