第17章 赤色の欠席
『何嘘吐いてるんですか。征十郎を、赤司の駒としか思ってないくせに』
「…何だと?」
『赤司の子供だからって、橙崎の引き取られた娘だからって何なんですか?
そんな世間からの評価気にしてもつまらないですよ。彼だって極普通の子供で、今なら壁にぶち当たったり、親に反抗してるはずなんですよ』
「それがどうした」
それがどうしたじゃない。それが普通の中学生のはずなんだよ多分!とぶん殴ってやりたい気持ちを抑え、征十郎のお父さんの目をキッと睨む
少しひるんで見えたのかあたしの思い込みだろうか
『征十郎がどうして、父親であるあなたに他人行儀な態度をとるか分かりますか?』
「それは…『あなたが赤司の鎖に縛り付けて、あなたが形のみの父親だからですよ
私は確かに引き取られた身ですが、両親に反抗してませんが、あなたのやっていることよりは家族と言えるでしょう。征十郎は、あなたの奥様を忘れる道具じゃないんです!』」
事実、お母さんが亡くなってから彼と会う時間が減った。もちろん学校で会っているのだから頻度は減っていないが、一緒に遊んだり出かける時間が減ってしまった
この1年だってバスケと学校以外の時間で遊んだのは片手で足りるほど。そんな青春嫌じゃなかろうかと、考えながら彼のこの先を思い出す
『だからお願いです。これ以上征十郎に期待やプレッシャーをかけないで下さい
このままでは彼は、全くの別人のようになってしまうんです』
「…私は、征十郎の気持ちを踏みにじってたのか…」
『間違ってたなら正せば良いんです。まだまだ時間はあるし、直すことも可能ですから』
「そうか」
『受け売りですけどね』
征十郎のお父さんに笑って見せると、フッと大人カッコいい笑みを見せてくれた。征十郎に似ているけれどダンディな微笑み
ふぅ…と息を吐いて呼吸を整えると、後ろから少小さく鼻を啜る音が聞こえた
こんな簡単に改心してくれるのだろうかと思うが、同世代の人より餓鬼に言われる方が刺さるものがあるだろうと考え再びニッコリ笑う