第20章 彼の誕生日
そこら辺にある10cm程の段差のところに座り込み
はー。と息を吐くと真っ白く染まった息が消えていく
今日も変わらずに少量の雪がチラホラと落ちてきているのを見て、征十郎の自主練習が終わるのを待つ(ちなみにとっくの等に手首は治ったらしい)
『上着来てくれば良かったかなぁ…』
今身に付けている防寒具はマフラーのみで、さすがにこの寒さの中で待っているのはキツいな
でも中に入るとさつきに色々聞かれるし…
どうすれば良いんだか。と独り言を呟き空を見上げる
その直後、頬に熱さを感じた
『あっつ!
誰って、緑間!』
「くれてやるのだよ」
『・・・おしるこ?』
別に甘いのは苦手ではないし、暖かいものが欲しいから万歳なんだけども
ああ、緑間はおしるこ好きなんだっけ
寒いしせっかくだからもらうかな
『もらっとくよ。ありがとね』
「赤司の誕生日だから、だろう?」
『知ってるんだ
ま、おは朝信者だもん。知ってて当然か』
「とりあえず俺は自主練に戻るのだよ
体を冷やさないようにな」
『サンキューオカン』
「俺はお前のお母さんではないのだよ!」
そう言って緑間は去っていった
でもあの心配の仕方は世に言うお母さんみたいだろう
パキッとプルタブを取り、おしるこを飲む
『甘っ
しかも熱い』
でもとりあえずとおしるこを飲み干し、近くのゴミ箱に捨てる
おしるこって小豆が最後に残るよね
相も変わらず雪は少量だが降り続けており、あたしに当たると体温で溶けてしまう
『・・・…』
溶けてしまうのがなんだかもったいなくて、助けたい気持ちがあるのだが触ってしまうと溶けてしまうため何もできない
『もどかしい、なぁ』