第16章 チョコばらまく日
「じゃあこれ、オレから」
『オレから?』
「逆チョコってやつ?」
『逆チョコ?』
「男子から女子に送るってやつ!ちなみに手作りでーす」
『え、手作り!?何を作ったの?』
「クッキー、ホットケーキミックスが余ってたからさ…」
『余ってるからホットケーキじゃなくてクッキー作るんだ?』
すごいなあと思いながら彼の作ったというクッキーをもらう
綺麗なきつね色に焼けているものとココアパウダーが入っているのか焦げ茶色のものがラッピングされていた
妹と一緒に作ったんだろうかと微笑ましい光景を想像しながら、ふっと笑う
『食べてもいい?』
「いいに決まってんだろー?」
『えー形も綺麗だね』
「ちゃんと型抜きでやったからな」
『…うん。美味しい。すごいね初めて逆チョコなんてもらったよ。クッキーだけど』
「へー名前ちゃんならもらってそうだけどな」
『そんなことないよ』
プレーンとココアを1枚ずつ食べたところで妹のと同じく封を閉める
それを確認した和成は立ち上がって伸びをして、こちらを向いた
「おっし、送ってくわ」
『いいって、帰れるよ』
「普段会えないんだし、ちょっとでも一緒にいてぇじゃん?」
『…そう言われると拒否できないなあ』
「だろ?ほら帰ろうぜ」
全く話術が上手い男だと笑いながら立ち上がった彼の横に立った
隣で話す彼の話は話し方が上手いのかどれも面白く、何度も笑い合ってしまう