第16章 チョコばらまく日
「黄瀬君、お客さんが待ってるよ」
「あー!赤司クン、どうもっス!名前っち、ありがと!」
『…イーエ』
さっき声がでかいと言ったばかりなのにもう忘れてしまったのかとまた溜まっている女性のところへ彼は駆け出す
征十郎と涼太本当に他人行儀だなと考えていると、持っている紙袋に視線を落とした彼が口を開いた
「黄瀬君にチョコ、あげたのかい」
『うん。欲しいって言うから』
「…オレの分は?」
『あるよ?』
「なら先にくれてもいいじゃないか」
『そんな欲しかった?はい』
同じようにラッピングされたマドレーヌを取り出すと彼はお礼を言いながら受け取る
そのままカバンの中に仕舞われるが既にその中には可愛いラッピングされた箱や袋が入っていた
小学生の時もランドセルの中身がこんな感じになっていたなと当時を思い出しながら、答えが分かり切っている質問をする
『もらったの?チョコ』
「ああ。来る途中に」
『小学生のころからすごかったもんね』
「そんなことないよ」
そんなことあるだろうと考えているとチャイムが鳴ったので席に着く
和成にチョコ渡せるのは何時になるかなあ、なんて考えながら1日授業を受けたが、昨日遅くまで作業していたせいか寝てしまってHRのあと隣の席の征十郎に起こされてしまった