第18章 将棋をしましょう
バスケットボールがドリブルする音や、ゴールを通り抜ける音
バッシュの走ったり止まったりする音に混じり聞こえるのは、パチンッと将棋を打つ音
「二歩はダメだと教えただろう」
『え、ごめん』
「持ち駒の使い方を考えて、気をつけるんだ」
『んー』
征十郎の忠告に従って将棋をどんどん打っていく
6月以来、征十郎と練習を重ねたおかげでどの駒がどう動けるかは大分覚えた
とりあえずと、龍王を動かして征十郎の歩兵を貰う
「詰み」
『はぁぁぁぁぁ!』
「#NAME1#、声が大きいよ」
『詰みってもう動けないじゃん!
少しは手加減してよー』
「もう一回やろうか」
『いやもうどちらにしても負けるでしょ
征十郎強すぎ』
「そうじゃないかもしれないじゃないか」
『次負けたらあたし、13連敗なんだけど』
「素人にしては食いついている方だよ」
はぁ…と短い溜め息を吐いていると、征十郎が準備をしてまた打ち始めた
それと同時に休憩が始まったのか虹村先輩があたしの頭に腕と頭を乗せてきた
そして分かんねーと呟いてから今度は両肩に腕を乗せて、頭に顎を乗せてきた
『・・・香車がなー』
「#NAME2#、香車ってどう動けんだ」
『どこまでもまっすぐです』
「ほー」
香車ってあたしにとっても居ても意味が感じられないのだが
ふと周りを見ると人で溢れていた
ていうかコーチまで何で見てるんだよ、仕事しろよ仕事