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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第14章 昇格試験





ドアから先輩とさつきが退き、謝る声と共にキィッとドアが戻る音がする

フリーズしている虹村先輩がようやく動き、あたしの頭も動き始めた


「虹村、バッチリ撮れたぜ!。あ、苗字には転送しとくからな」

『…し。しなくて大丈夫です』

「だって虹村の家族以外の初キスだぜ?しっかりバックアップまでしなきゃ損だろ」

「お前…「じゃな!虹村、苗字、お幸せに!」」


去っていった先輩の言う通りその不運の重なりの結果、虹村先輩とあたしの口元がぶつかってしまった

冷静を装っているが内心は大変焦っている。どうするべきか悩んでいると、虹村先輩を押しのけてさつきがこちらに駆け寄ってくる


「名前ちゃん!ごめんね大丈夫?」

『…ダイジョーブ』

「ファーストキス…だった?」


虹村先輩を押し退けてくるなんてさつきは強いなあなんて考えながら、確かにファーストキスではあるがそんな大げさな扱いになるのか


『ファーストキス…になるのかなぁ…』

「わわわわり、苗字」


自分より顔が真っ赤になっているだろう虹村先輩を見ながら「気にしないでください」と声をかけ、未だに痛いおでこを擦る。少し腫れている気がした


「苗字、だからあれだけ襲うなつったのに…」

『事故だから、襲ってないって』


今更になって恥ずかしくなってきたので、マフラーを口元まであげて隠す


「何だこの状況、なにがあったんだ虹村」

「オレに聞くな」

「てか虹村、お前顔赤くね?」

「あー!来週の試合頼むからなお前ら!」


そう言った虹村先輩は去っていく。それを別の先輩が追いかけていく後ろ姿を見た後、騒ぎが落ち着いたからか緑間と紫原も出てくる

彼らが言うに灰崎は巻き込まれたくないからと窓から出ていったという


「名前、大丈夫かい?」

『大丈夫どす』

「大丈夫じゃないみたいだね」


ようやく落ち着ける状態になって今頃心臓がバクバクと動き始める

どうしてこんなことになったんだなんて考えていると、見かねた征十郎が解散指示を出してくれたのでこの場はお開きとなった




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