第14章 昇格試験
「じゃオレ、苗字シメに行ってくるわ」
『え』
虹村先輩によりバンッと開いたドア、出たところにいると驚かせるかと思い反対側にいたのが間違いだった
開かれたドアが顔に激突し音が響く
ドアと壁に挟まれてしまったので体の色んなところが痛いが重傷はおでこ、鼻はカバンの中身を探していたので守られた
『っ~!!』
「あれ、苗字居ねえ」
『に、じむらせんぱい!』
「あ、え、苗字か?」
ドアを閉めてようやく姿を確認できたらしい虹村先輩はおでこを押さえてうずくまっている状態のあたしを見る
『痛いです』
「…わり、見せてみろ」
『ん』
虹村先輩におでこを見せるためおでこを押さえていた手を退ける。すると虹村先輩はあたしの前髪をあげておでこの確認を始めた
『あー!前髪あげないでください!ニキビあるのバレる!』
「そんなこと気にしている場合か!」
『ぐう…ニキビ…』
思春期だから出来るのはしょうがないとはいえ、このみんなつるつるすべすべの世界線でニキビが出来るのはどういうことかと思いながら、これ以上シメられて傷が増えるのも困ると、大人しくすることにする
彼はおでこを確認中するためにと左手で前髪を押さえて、右手で顎を支えている
『…近いです、虹村先輩』
「我慢しろ」
『はい』
後退しようとしたが後ろは壁、進言したが言い返せないと判断し大人しくしていると、同年代に比べて低い声が響く
「…何やってんすか」
『青峰?自主練はもう良いの?』
「動くなつってんだろ」
『スミマセン』
仕方なく横目で青峰達の方を確認するとドアが開けっ放しで、そこから征十郎が出てきたのを確認できた
開けっ放しはやめようよ中で着替えしている人たちが寒いだろうよと考えていると先輩が出てきた
「虹村、また明日な」
「おう、気を付けろよ」
「青峰くーん!タオル忘れて、きゃっ!」
『え』
ことは一瞬ではないが少しの間に起きた
順番に説明すると、青峰の忘れ物を届けに来たさつきが登場し、さつきが急に出てきた先輩に驚いて止まろうとしたが出来ずに先輩と衝突
さらにそこから彼の後ろにあったドアにぶつかり、ドアの後ろにいた虹村先輩の後頭部に当たってしまった