第14章 昇格試験
『お疲れ様テツヤ』
「や、」
『や?』
「やりきりました…」
緊張の糸が解けたのか、その場に倒れこむテツヤ
若干違うところはあるが大きなところは変わっていない。彼は間違いなく1軍に昇格するだろうと確信する
『テツヤ、体力付けようねほら3軍と1軍じゃ練習量が「苗字、お前は何油売ってんだよ」』
『いいい痛いです!縮みますからやめてください虹村先輩!』
「ほら帰るぞ」
『頭鷲掴みとかほんとやめてください!縮む!ていうかデジャヴ!?』
「縮め」
『今サラッと酷いこと言われた!』
「虹村さん、2軍3軍の前なのでほどほどに」
『それ1軍の前ならやっていいってこと…?』
その言葉が聞こえないのか。虹村先輩はあたしの頭を鷲掴みにしたまま歩き出す。痛いし、後ろ向きで歩けとかすごい酷だがしょうがない
テツヤがこちらを心配そうに見ているのだけが天使のように感じる
「…大丈夫ですか?」
『あー大丈夫しょっちゅうあることだから』
「そうですか…」
「ほら苗字、帰んぞ」
『じゃテツヤ、1軍でまってるからねー』
「名前、まだ彼が1軍に入れるかは決まってないのだが」
『え』
あたしの確信を返せと一瞬思ったが3軍が2軍に勝つという結果を見せたのだ。上がってくることは間違いないだろう
『虹村先輩、そろそろ本気で離してください。自分で歩きますって』
「仕方ねえな」
その日のバスケ部の練習はどこか雰囲気が違い、いつもより練習に力が入っていた
後日、1軍に新たなメンバーが来ることが発表され、無事テツヤは1軍に昇格することが決まった