第2章 赤いカレ
そんな事があってから数週間、あたしはバスケクラブにちょくちょく顔を出し、クラスにもだいぶ馴染み学校の過ごし方も大方分かってきた
だが隣の彼とは特に溝は埋まらず、最低限のことや挨拶などしか喋らない日々が続く
「…」
『…?』
しかし赤司はやけに最近あたしのことをじっと見つめている。いや、観察していると言ったほうが良いのだろうか
とりあえず気にしてない。気づいていないと装っているが、めっちゃくちゃ気になる。なんだその視線は
そして必ず放課後になると赤司はあたしに向かって「バスケ見に来ないか?」誘ってくる
とりあえず断る理由もないために、そのままついていった
『すみません。お邪魔します』
「ああ、苗字さん、いらっしゃい」
ちなみにだが、そのおかげでバスケクラブのコーチとも顔見知りを通り越して仲良くなってしまった
そして最近はなぜか飲み物を作ったり、スコアを記入したりと完全にマネージャーとなっていた
その事に問題はないし、むしろただ見ているだけよりはとても良いのだが…なんだろう、この…あることに近づいている感じは
「名前」
『は、はい!』
「練習、終わったんだが…どうしたんだい?」
『ちょ…ちょっと考え事してて…赤司君もう帰るの?』
「ああ。一緒に帰ろう」
『でも、迎えが』
「雪さんには伝えてあるよ」
彼の言葉に思わず口を開けてしまったあたしの顔を見て、赤司は少し笑っていた
果たしてどういう意図があるのかは分からないが、車がないと帰れない。彼の家の車に乗りこむ
ちなみに結論としては何も無かった。普通に会話をして家まで送ってもらった、ところまでは良かった
「これから帰りは送っていく。クラブに付き合ってくれてるお礼だ」
『えっ、いや、いいから』
「気にしないで欲しい。それじゃあまた明日」
オレの話を聞け!と一昔前の音楽を歌いだしてしまいそうなほど勝手な赤司は嫌と言う前にドアを閉め去っていってしまった
なんなんだ。一体あたしの身に何が起こってるんだ
大変やめて欲しいが彼の決定事項に抗える程の精神力はまだ持っていない
今の身体に合わない重い溜め息を吐いて、家の中に入った