第2章 赤いカレ
放課後、久々の小学校生活に疲れを感じ荷物をまとめていると隣の席の赤司が声をかけてくる
「名前」
『は、はい』
「良かったらこの後体育館行かないか?」
『…体育館?』
「前に言っただろう?良かったらバスケを見に、名前に来てもらえたらと思っているんだが…どうかな?」
『(断ろうにも断れないよ)』
ここで断ったら更に赤司と溝ができるんじゃないかと思い「お願いします」と頭を下げた
顔を上げると彼は「じゃあ行こうか」と体育館のある方向へと歩き始める
何となく彼の隣に立つことに躊躇いを感じてしまい、斜め後ろについて彼のあとをついていった
「歩かせて悪かったね、ここだよ」
『…大きいね』
「ああ、見学するなら上かコートの外、もしくはステージの上かな」
『じゃあコートの外で、見てようかな』
コーチらしき人に軽く声を掛けてから、適当にコートの外へと座った
まず彼らはアップから始めて軽く走って、バスケの練習を始める
その様子を見る限り赤司は同年代の中でも群を抜いており、ああもうこの頃から強いのかと内心1日で頷いていた
「見てるだけで楽しい?」
『えっ、はい。十分です』
「良かったらやってみない?」
『…え』
手が空いてるコーチらしき人物に話しかけられて、ボールを渡される
立ち上がってその人から構え方と投げ方を教えられ、適当に投げてみると掠ることなくリングを潜った
『入った…』
「すごいよ!初心者でこの距離から入るなんて…」
『はい…ビックリです』
多分あれだ。恐らくだが、あたしが「黒子のバスケ」という世界にきたことによりバスケが出来るようになったんだろう
その事に不満があるわけではない…が、なぜできるようになったんだ
それはつまり…と、ある考えを何個か導き出したが、その考えはありえないと捨てた
『(ただ、もしもそれが本当なら…どうすれば良いんだろう)』
考え事をしながらその日の練習を見ていると、あっという間にその時間は過ぎ去った
その後迎えの車に揺られながら、あたしは自分の家へと帰った